不正アクセス禁止法とは?企業が知るべき禁止行為・罰則・対策を解説!

近年、中小企業を狙った不正アクセス被害が急増していることをご存知でしょうか。2024年には森永製菓やカシオ計算機などの大手企業が相次いで不正アクセス被害に遭い、顧客情報の漏洩や事業停止といった深刻な損失を被りました。

このような攻撃に備える目的で整備された法律が「不正アクセス禁止法」です。しかし、多くの中小企業では「法律の内容がよくわからない」「どんな対策が必要なのか分からない」といった悩みを抱えているのが現状です。

本記事では、不正アクセス禁止法で定められている禁止行為や処罰、さらに中小企業でも実践できる対策方法までを詳しく解説します。企業の情報資産を守るために、知っておくべき重要なポイントを押さえていきましょう。

不正アクセス禁止法とは?

不正アクセス禁止法とは、正式名称を「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」といい、2000年2月に施行された法律です。インターネットの急速な普及に伴い、他人のID・パスワードを悪用してシステムに入り込む行為や、脆弱性を突いた不正なアクセスが社会的な問題になったことを背景に整備されました。

この法律の狙いは「情報通信社会を健全に成長させること」にあります。不正アクセス行為そのものだけでなく、その準備段階にあたる認証情報の不正取得や保管なども幅広く規制対象としています。企業にとっては、自社の情報資産を守ると同時に、従業員による違法行為を防止するための重要な法的基盤となる法律です。

不正アクセス禁止法で禁止されている5つの行為

不正アクセス禁止法では、どのような行為が違法にあたるのかを細かく定め、幅広く規制しています。

  1. 他人のアカウント情報を使って許可なくログインする行為
  2. システムの弱点を悪用して内部に入り込む行為
  3. 認証に使う情報を不正に入手したり保持すること
  4. IDやパスワードを本人の許可なく第三者に渡すこと
  5. フィッシングなどを用いてログイン情報をだまし取ろうとする行為

これらは実際の侵入行為にとどまらず、その準備段階や助長行為も含む包括的な内容となっており、企業の情報セキュリティを多角的に保護する仕組みとなっています。

他人のアカウント情報を使って許可なくログインする行為

他人のアカウント情報を勝手に使ってシステムへ入る行為は、不正アクセス禁止法の中でも特に重大な違反として扱われます。

例えば、退職した従業員のアカウントを使い続ける、同僚のログイン情報を勝手に利用する、あるいは偶然見えてしまったパスワードを使って本人になりすましログインする行為などがこれに該当します。

たとえシステムへの侵入に成功しただけで実害がなくても、ログインした時点で犯罪が成立するため、企業では厳格な認証管理が求められます。

システムの弱点を悪用して内部に入り込む行為

システムに存在する弱点(脆弱性)を突き、設定されたアクセス制御をすり抜けて機能やデータに不正に到達する行為も、法律で明確に禁止されています。具体的には、OSやソフトウェアの未修正の脆弱性を突いた侵入、SQLインジェクション攻撃によるデータベースへの不正アクセス、ネットワーク機器の設定不備を利用した侵入などが挙げられます。

この種の攻撃は技術的に高度ですが、企業側の対策不備が狙われやすいため、定期的なセキュリティアップデートと脆弱性管理が不可欠です。

認証に使う情報を不正に入手したり保持すること

他人のIDやパスワードなどの認証情報を不正に取得したり、それらを保存しておく行為も、不正アクセス禁止法の規制対象に含まれています。

ショルダーハッキング(覗き見)、フィッシングメール、ソーシャルエンジニアリング、マルウェアによるキーロガー攻撃など、どのような手段であっても認証情報の不正取得は違法です。さらに、入手した情報をPCや外部ストレージ、紙媒体などに保管するだけでも違法行為とみなされるため、企業では情報管理の徹底が重要です。

IDやパスワードを本人の許可なく第三者に渡すこと

正当な理由なく、他人のログイン情報を別の人へ渡す行為も不正アクセス禁止法で規制されています。例えば、業務上知り得た顧客のログイン情報を同僚に教える、SNSや掲示板で他人のアカウント情報を公開する、入手したパスワードリストを売買するケースなどが該当します。

提供方法は電子メール、電話、口頭など手段を問わず、情報の受け渡しそのものが違法行為となります。企業では、従業員が意図せず情報を漏らさないよう、情報共有に関する明確なガイドラインの策定が必要です。

フィッシングなどを用いてログイン情報をだまし取ろうとする行為

正規のサービス提供者を装い、利用者にログイン情報の入力を促して不正に取得しようとする行為も、不正アクセス禁止法によって明確に禁止されています。代表的な手口としては、銀行や大手企業を装ったフィッシングメールの送信、偽のログインページを作成してアカウント情報を騙し取る行為、電話で認証情報を聞き出すソーシャルエンジニアリング攻撃などが挙げられます。

これらの手口は年々巧妙化しており、企業では従業員への注意喚起と併せて、技術的な対策も重要視すべきポイントです。

違反時の罰則と企業が負うリスクとは?

不正アクセス禁止法の違反に対しては、行為の重要度に応じて明確な罰則が設定されています。もっとも重いとされる不正アクセスそのものについては、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が適用されます。また、ID・パスワードの不正取得や、他人の認証情報を許可なく渡す行為には、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が定められています。

企業にとって特に注意すべきは、従業員が違反行為を行った場合の間接的なリスクです。適切なセキュリティ対策を怠った結果、自社システムがサイバー攻撃の踏み台として悪用された場合、直接的な加害者でなくても損害賠償責任を問われる可能性があります。

さらに、情報漏洩事故が発生すると顧客や取引先からの信頼失墜、事業停止による売上損失、ブランドイメージの悪化など、法的責任を超えた深刻な経営リスクに直面することになります。

中小企業が実践すべき不正アクセス対策

不正アクセス禁止法による法的リスクを回避し、企業の情報資産を守るためには、包括的なセキュリティ対策が不可欠です。中小企業では予算や人的リソースに限りがあるため、効果的で実装しやすい対策から段階的に取り組むことが重要です。

  • アクセス制御とID・パスワード管理の強化
  • システムの脆弱性対策と定期更新
  • 従業員教育とセキュリティ意識の向上
  • 不正アクセス検知システムの導入

ここでは、中小企業でも実践しやすい4つの主要な対策について、具体的な実装方法と注意点を詳しく解説します。

アクセス制御とID・パスワード管理の強化

不正アクセス対策の基本となるのが、適切なアクセス制御とID・パスワード管理です。まず、従業員ごとに必要最小限の権限のみを付与する「最小権限の原則」を徹底し、定期的な権限見直しを実施しましょう。

パスワードについては、英数字と記号を組み合わせた8文字以上の複雑なものを設定し、90日ごとの定期変更を義務化します。さらに効果的なのが多要素認証の導入で、パスワードに加えてSMSやアプリによる認証を組み合わせることで、セキュリティレベルを大幅に向上できます。

システムの脆弱性対策と定期更新

システムの脆弱性を突いた不正アクセスを防ぐため、使用しているOSやソフトウェアのセキュリティアップデートを迅速かつ確実に適用することが重要です。Windows Updateやセキュリティパッチの自動更新機能を有効にし、月次でアップデート状況を確認する体制を整備しましょう。

また、不要なソフトウェアやサービスは削除し、ファイアウォールの適切な設定により外部からの不正侵入を遮断します。ウイルス対策ソフトの定義ファイルも常に最新状態を保ち、リアルタイム監視を有効にすることで、マルウェアによる情報窃取を防げます。

従業員教育とセキュリティ意識の向上

技術的な対策と同じく重要なのが、従業員のセキュリティ意識向上です。年2回以上の定期的な研修を実施し、フィッシングメールの見分け方、安全なパスワードの設定方法、不審なアクセスを発見した際の報告手順などを具体的に教育しましょう。

また、セキュリティインシデント発生時の迅速な報告を促すため、従業員が安心して相談できる体制づくりも重要となります。

不正アクセス検知システムの導入

予防策に加えて、不正アクセスの早期発見も重要な対策です。

中小企業向けのクラウド型セキュリティサービスを活用することで、月額数万円程度の予算で高度な監視機能の導入が可能です。これらのシステムでは、通常と異なるアクセスパターンや大量のデータ送信を自動検知し、リアルタイムでアラートを発信します。

また、ログ管理システムを導入してアクセス履歴を定期的に確認し、異常なログイン試行や権限外へのアクセス試みを早期に発見する体制を整備することで、被害の拡大を防ぐことができます。

まとめ|知らなかったでは済まされない!適切な対策で企業を守ろう

不正アクセス禁止法は、現代の企業経営において避けて通れない重要な法律です。「知らなかった」という理由で違反が免除されることはなく、一度の不正アクセス被害が企業の存続を脅かす深刻な事態につながりかねません。

重要なのは、法律の内容を正しく理解し、アクセス制御の強化、システムの定期更新、従業員教育、不正検知システムの導入といった包括的な対策を段階的に実践することです。

情報通信インフラの構築を手がけるアジアネットでは、不正アクセス対策に必要なネットワーク環境の整備から従業員研修、セキュリティシステムの導入まで、中小企業の規模や課題に応じた包括的なセキュリティ体制の構築をトータルで支援しています。

法的リスクを回避し、安全な情報システム環境を構築したい企業様は、ぜひアジアネットにご相談ください。

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