

インターネットを有線で接続する際の接続口となるLANポート。Wi-Fiの普及により無線接続が人気ですが、通信の安定性など有線接続を必要とする環境も多いのが現状です。
特にオフィスで複数人がインターネットを利用する環境では有線の需要が高く、人数が増えれば有線の接続先も増加する為、LANポート増設を検討する必要もあります。
この記事では、自分でできるLANポートの増やし方や、専門業者に依頼する場合の工事費用について詳しく解説していきます。
目次
LANポートとは、インターネットに有線で接続するために使うLANケーブルを差し込む場所のことです。LANは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の略称で、名前のとおり、限られた範囲内でのネットワークを指します。例えば、家庭やオフィスで複数の機器をインターネットに接続したいときに使用します。
LANケーブルをLANポートに差し込むことで、有線で安定したインターネット接続が可能になります。LANポートは、いわばインターネットに接続するための入り口だと考えるとわかりやすいでしょう。
有線接続は、Wi-Fiに比べて通信が安定しやすく、速い通信速度を得られることが特徴です。
安定したインターネット環境が強みである有線接続ですが、LANポートが1つしかないと、同時に接続できる機器も1台に限られてしまいます。では、LANポートを増やすことは可能なのでしょうか?
結論として、LANポートの増設は可能です。ハブやスイッチを使うことで、LANポートを増やし、複数の機器を同じネットワークに有線接続できます。これにより、例えば、PC、ゲーム機、スマートテレビなど、同じ空間で複数の端末を安定した有線接続で利用することが可能になります。有線接続は、特に通信速度や安定性を重視する場合におすすめです。
LANポートを増設する方法は主に3つあります。
それぞれの方法について説明します。
LANポートの増設には、まず増設箇所の計画と設計が必要です。LANポートをどこに配置するか、どう接続するかを考え、ネットワークの要件に合った機器を選びましょう。その後、配線工事を行い、新しいLANポートを設置します。この際、配線経路や安全性に注意し、適切なケーブルやコネクタを使用することが重要です。最後に、LANポートの設定やテストを行い、正常に動作するかを確認します。
LANポートの増設工事は、資格や免許がなくても自分で行うことが可能ですが、作業は簡単ではありません。特にオフィスなどでのLAN増設は、専門業者に依頼する方が安全で確実です。
LANポートを増設すると、当然ながらLANケーブルの本数も増えます。特にオフィスでの利用を考える際には、大勢が快適にインターネットを利用できるように、細かな配線の工夫が必要です。
自分で工事を行うことも可能ですが、以下のような問題が発生するリスクがあります。
このような状況では、後々ストレスを感じる環境になる可能性があるので注意が必要です。上記のような混乱を避けるためにも、専門業者に依頼すれば、配線の知識や技術を活かして、ケーブルをきれいに配線できます。さらに、LANケーブルの長さの調整や、床に這わせる際の工夫もしてくれるため、見た目としてもスッキリとした仕上がりが期待できるでしょう。
専門業者にお願いすべき理由のふたつめは「壁を使った工事が可能」という点です。LANポートを増設しLANケーブルを敷く際、ケーブルはできる限り邪魔にならない箇所に配線したいものです。
壁沿いを這わせたり、場合によっては壁に穴を空け中にLANケーブルを通す、という方法もあります。この様な方法は業者の経験値やノウハウ・技術がなければうまく行きません。
特に壁に穴を空ける場合は、電話線や他の家電機器類の配線もある為、慎重な工事を必要とします。もし、電話線などの配線を傷付けてしまうと停電や漏電を起こしてしまうリスクもあり、自宅だけではなく近隣にも迷惑をかける可能性があります。
専門業者であれば、過去に携わった工事で得たノウハウやモデルケースがある為、顧客の要望と現実的な工事内容に鑑みて最適な提案をしてくれるでしょう。
ハブを用いてLANポートを増設することもできます。
ハブを設置することでLANの元を複数口に分散することができ、接続する端末数を増やすことができます。電源タップが複数口ついたコンセントがありますが、それをコンセントではなくLANポートにしているのがハブです。
ハブは、スイッチングハブやLANハブとも呼びます。スイッチングハブは接続先のLANポートの数も様々なので、増設したい接続口数を持つハブを選びましょう。
LANの増設はモジュラージャックを使って行うことも可能です。
モジュラージャックとは電話線の差し込み口のこと。電話は、モジュラージャックにモジュラーケーブルを接続し、モジュラーケーブルと固定電話本体を繋いで使用します。
この電話用の回線をインターネット回線に変換することでLANを増設することができるのです。
モジュラージャックにモジュラーケーブルを接続し、モジュラーケーブルはADSLモデムという機器に接続します。ADSLモデムとは電話用の信号をインターネット用の信号に変換する機器のことで、これを用いることでLANの接続先が増設されるのです。
工事に免許も必要ないので、機器類の準備さえあれば自ら増設工事をすることも可能です。
LANの増設工事にかかる費用は5〜10万円が相場とされています。
部屋の大きさや間取り、増設数や壁の工事有無、必要な機器とそのスペックの差など、環境によって条件は大きく変わる為、それなりに相場の価格幅があります。
専門業者に工事を委託する場合、複数社にて見積を取り、費用項目の確認や総額などを比較して決めるのが良いでしょう。
LANポート増設工事を行うことには、いくつかのメリットがあります。
ここでは、LANポート増設工事を行うことで得られる具体的なメリット3つを詳しく紹介します。
LANポートを増設することで、安定したネットワーク環境の確保が可能です。有線接続は、Wi-Fiに比べて通信が途切れにくく、速度も安定しているため、大量のデータを扱う業務やオンライン会議、動画配信などに適しています。特にオフィスや多人数でのインターネット利用が多い場所では、LANポートを増設することで、接続する端末ごとの負荷が分散され、ネットワーク全体のパフォーマンスが向上します。また、有線接続は電波干渉の影響を受けにくく、Wi-Fiのように電波範囲や障害物に左右されることがないため、より確実でスムーズな通信が可能です。これにより、業務の効率化やストレスのないインターネット環境が実現できるでしょう。
LANポートを増設することで、複数のデバイスを同時に有線接続できるようになります。これにより、パソコンやプリンター、ゲーム機など、インターネットを必要とする複数の機器を一度に快適に使用することが可能です。Wi-Fiでは接続台数が増えると通信速度が低下する場合がありますが、有線接続では安定した通信が維持されるため、複数のデバイスを使う場面でも快適にインターネットを利用できます。また、オフィスや家庭で多くの端末を使う場合、ネットワークのトラブルが減り、効率よく作業を進めることができるのも大きなメリットです。
LANポートを増設することで、作業効率が大幅に向上します。安定した有線接続により、インターネットが途切れたり、速度が遅くなったりすることが減るため、仕事に集中しやすくなります。特に、オンライン会議やクラウドベースの作業、データの大量ダウンロードやアップロードを行う場合、有線接続は非常に効果的です。また、複数のデバイスを同時に快適に使えるため、チームメンバー間での連携がスムーズになり、コミュニケーションの遅延やトラブルが減少します。時間のロスを防ぎ、全体的な業務の効率が向上するため、結果的に生産性も高まります。
LANポートの増設工事には、費用と手間がかかる点がデメリットです。工事を専門業者に依頼する場合、ポートの設置箇所や配線の距離によって料金が変動し、特に大規模なオフィスや複数の部屋にわたる増設ではコストが高くなることがあります。加えて、LANケーブルの配線を見栄え良く仕上げるには技術と経験が求められるため、自分で行う場合には時間と労力がかかる可能性が高いです。これらの点を考慮すると、LANポートの増設工事は手軽ではないことがわかります。
LANポートを増設する際、見た目が気になる場合があります。複数のLANケーブルを使用する場合、ケーブルが床や壁を這うことが多く、部屋のインテリアや空間の美観を損なう可能性があるでしょう。ケーブルを隠すためのモールや配線カバーを使うことである程度は改善できますが、それでも完全に目立たなくするのは難しい場合もしばしば。また、配線が露出していると、掃除や家具の配置にも影響を与えることがあります。そのため、見た目の美しさを重視する場合は、配線を工夫したり専門業者への依頼を検討したりすることが重要になります。
LANポートの増設工事には、配線ミスやトラブルが発生するリスクがあります。例えば、初めて自分で配線を行う場合、ケーブルの取り回しや接続の仕方を誤ると、ネットワークが正常に機能しなかったり、通信速度が低下したりすることがあります。さらに、ケーブルが断線したり、正しい規格のケーブルやコネクタを使用しない場合、思わぬトラブルが生じることもあるでしょう。また、配線が複雑になると、後からメンテナンスや機器の追加が難しくなる場合もあり、トラブルが発生した際の原因特定が困難になることも少なくありません。このようなリスクを避けるためには、専門知識が求められるので、場合によっては業者に依頼することが望ましいでしょう。
LANポートの増設を行う際には、いくつか注意しなくてはならないポイントがあります。ここでは、LANポート増設時に押さえておくべき注意点として、
DIYでの増設における注意点
業者に依頼する場合の注意点
上記のポイントを詳しく解説します。
DIYでLANポートの増設を行う場合、自分で作業することでコストを抑えることができますが、配線ミスやトラブルが発生しやすく、結果的に時間や手間がかかることもあります。ここでは、DIYで増設する際に気をつけるべき3つのポイントについて解説します。
LANポートの増設作業の中には、電気工事士の資格が必要な作業もあります。例えば、壁の中に新たに配線を通す場合や、既存の電源回路に接続する必要がある場合、資格を持っていないと法律違反になる可能性があります。無資格でこれらの作業を行うと、安全面でもリスクが伴うため、必要に応じて専門業者に依頼することが望ましいです。
LANポートの増設に使うケーブルの選定も非常に重要です。LANケーブルには、カテゴリー(Cat)によって性能が異なる種類が存在し、用途や求める通信速度に応じて適切なものを選ぶ必要があります。例えば、一般的な家庭で使用する場合はCat5eやCat6で十分ですが、高速通信が求められるオフィスやデータ転送量が多い場合には、Cat6AやCat7といったより高性能なケーブルを選ぶことが推奨されます。ケーブルの種類を誤ると、せっかくの増設工事が通信性能に悪影響を与える可能性があるため、用途に合ったケーブルを選ぶことが大切です。
LANポートの増設工事を自分で行う場合、作業中の安全性に十分な注意が必要です。まず、電気が関わる作業では、感電や火災のリスクを避けるため、事前に電源を切りましょう。また、高所作業が必要な場合は、脚立などを使う際にも安定させ、安全な環境を整えてから行ってください。安全面を最優先に考慮し、無理をせず、必要に応じて専門業者に依頼することも検討しましょう。
LANポートの増設を業者に依頼する場合、後でトラブルになるリスクを減らすためにも、以下の2点に注意しましょう。
業者にLANポートの増設工事を依頼する際には、見積もり内容をしっかりと確認することが大切です。工事費用に含まれている項目を詳細にチェックし、追加費用が発生する可能性があるかどうかを把握しておきます。また、見積もりに不明な点があれば、遠慮せずに業者に質問し、納得してから契約を進めるようにしましょう。
LANポートの増設を業者に依頼する際には、業者の実績を確認することが非常に重要です。実績のある業者は、これまでに多くの増設工事を手がけてきたため、トラブルへの対応力やスムーズな施工が期待できます。ホームページや口コミサイトで過去の施工事例や評価を確認し、その業者が信頼できるかどうかを慎重に判断しましょう。信頼性の高い業者を選ぶことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
LANポート増設工事を依頼する際には、必ず保証期間を確認しましょう。工事後に万が一問題が発生した場合、保証期間内であれば無償で修理や調整をしてもらえる場合があります。また、保証があることで、工事後のトラブルにも安心して対応できるだけでなく、業者が工事に対して責任を持っている証拠とも言えます。保証内容は業者によって異なるため、どの範囲まで保証されるのか、どのくらいの期間カバーされるのかを事前に確認し、不明点があればしっかりと質問しておくことが大切です。
「LANポートが足りない」その解消方法はLANポートの増設だけではありません。もうひとつのインターネット接続方法である無線接続も選択肢に入れましょう。
無線LAN接続のメリットはLANポートを使わずに複数の端末に接続できることです。有線接続と同じように接続できる端末の数には限りがあります。LANポートが足りない状況で、無線LANと併用できれば接続する端末を大幅に増やすことができ、結果的にLANポート増設工事と同等、若しくは接続端末数の観点で言うと同等以上の効果が期待できます。
また、無線LAN接続のメリットは何といっても「接続端末の場所を選ばないこと」です。場所に自由度が利くため、自宅やオフィスでのレイアウトもスッキリします。
LANポート増設工事を検討する際は、有線・無線それぞれの接続方法のメリット・デメリットと、ご自身が望むインターネット環境に鑑みて判断しましょう。
無線LAN接続の場合、場所を問わない機動性と接続端末数の大幅増というメリットの一方、有線LAN接続に比べ通信速度が遅いというデメリットがあります。接続端末が増えれば増えるほど1端末あたりの負担がかかることが原因です。
有線LANはインターネットの安定性とセキュリティー対策に強いというメリットがあります。オフィスや自宅などインターネットを使う空間とその用途によって適切に判断しましょう。
今や、インターネットは生活やビジネスに不可欠なインフラと言っても過言ではありません。LANポートの不足など、インターネット環境に課題が発生した場合は多くの選択肢を持ち、状況にあった柔軟な対応を行いましょう。